不思議な感覚  <柳川 真衣>

こんにちは。柳川真衣です。
今週に入ってからとても寒いですね。各地で雪が降り、もしかしたら沖縄でも雪がちらつくかもしれないとの予報もありビックリしています。

この寒さのなかでも稽古場では白鳥の湖に向けてリハーサルが行われています。

長く踊ってきましたが、忘れられない舞台というものがあると同時に忘れられないリハーサル、瞬間があるものです。

私がバレエ団に入団してすぐの公演が白鳥の湖でした。
そして、この白鳥の湖のコールドバレエには物凄く苦労した思い出があります。


バレエ団の舞台での『人と一緒に踊る』ということは、舞台上にいる全員のダンサーたちと呼吸を合わせ、空気を感じ、ひとつにならなければならないということを入団してすぐの私は全く理解できていなかったからです。


人の後ろに並ぶこと。
人と手足の高さや角度を合わせること。
人と呼吸のタイミングを合わせること。

文字にするといささか簡単そうに自分でも感じてしまいますが、全てを同時にやりながら踊るということは当時の私にはとても難しく、いっぱいいっぱいでミストレスの先生や先輩方からよく注意をされ、沢山のことを教えてもらいました。

何が正解なのかがわからない......。

勉強においてもそうですが、自分で理解してしたことでなければまた同じことはできません。

リハーサルの後に残って、先輩方に付き合ってもらい必死に身体で感覚を掴む練習をひたすらしました。

そんなある日です。
2幕のリハーサルでワルツの終わりに縦1列に並んで手を降ろした時でした。

ゾワゾワゾワゾワ!!

と全身が震えるような感覚に襲われました。
そして次の瞬間

『揃ったんだ』

という事に気が付いたのです。

私は身長が164㎝なので、白鳥のコールドバレエに入っている時は真ん中辺りのことが多いのですが、そうすると見える景色は前のメンバーだけです。
しかし、その震えた瞬間に感覚的に見えないはずの後ろのメンバーまで揃った事を感じることができました。

この不思議な感覚を初めて体感した時のことは今でも忘れられません。

白鳥の湖のコールドバレエは優雅に見えてとても神経を使っています。
でもだからこそピタッと揃った時の美しさは感動を呼ぶものだと信じています。

劇場に足をお運びいただき、ダンサーたちの息遣いやエネルギー、そしてその不思議な感覚を一緒に感じて頂けたら幸せです。


本日もお付き合い下さりありがとうございました。


真衣