にらめっこしましょ <竹石 玲奈>

部屋が狭い。

断捨離をしました。

いつか寝巻きにでもしようと、とっておいたTシャツ


いつか雑巾にでもしようと、とっておいたタオル


いつかまた履くことがあるかもと、とっておいたグニャグニャのトゥシューズ


"いつか"は永遠に来ない。
思い切ってきれいさっぱり捨てました。


ゴミ袋○袋分、どんどん要らない方へと仕分けられていったわけですが、どうにも手放せないものもまた、それなりにあるもので。


ひとつはこれ。

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いただいたお手紙。


友人から、親戚から、先生から、生徒さんから、舞台を観に来てくださったお客様から、などなど。


直筆の心のこもったお手紙は、いつの日も嬉しいものです。


あたたかい。
ありがたい。
宝物だ。


手放せるはずがありません。


それから、これ。

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先生からみどりちゃんと呼ばれて「れいなだもん」と拗ねていたそうで。

たまに取り出して、初心に帰ろう。


手放せません。


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私の感性を育ててくれた絵本。


特に五味太郎さんのシリーズがお気に入りでした。


もう何年も開いていなかったのに、あ〜このページ好きだったかも、なんて、記憶が蘇るとは。
驚き驚き。


断捨離の手を止めて読み耽る始末。


手放せません。


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首輪はボロボロ、足はほつれていて、日焼けもすごいけれど。


今夜も一緒に寝るんだから、手放すわけにはいきません。


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なんだこれは。


石の標本のようです。


買ったときのことを、思い出せるような思い出せないような。


たしか旅先で......しかし、どうしてこんなものを......


いや、でも、ひょっとしたらこの中に希少な石とかあるかもしれないし。


手放せません。


そして、なぜ今日までここにあるのか、最も不可解なのがこれ。


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ずっと使ってない。
なんの思い入れもない。


足の裏ほぐすの、いっぱい持ってるじゃない。


もしかしたら、本当に捨てられないのは物ではなくて、こだわりとか価値観とか、"なんとなく"の感覚とか、そういうものかもしれないな。


図らずも断捨離の本質に少しだけ触れた、そんな気がしました。

怒涛の上半期が過ぎ、青竹踏みとにらめっこする時間を尊く感じた、令和元年の夏。

...............で、どうする?これ。