one for all    <竹石玲奈>

こんにちは。竹石玲奈です。



今日は、貴族役についてお話しします。



古典バレエではおなじみの、貴族。

注目される機会こそ少ないものの、
貴族もまた
舞台をつくる大事なピースのひとつです。

一言に貴族といっても、時代、国、シチュエーションなど
作品や場面によって、そのスタイルは一様ではありません。



さて、


「貴族」といえば、豪華なお衣裳が思い浮かびますよね。

実はあのお衣裳
裾が長いうえに見た目以上に重いため、うまく裾をさばかなければ
歩くことさえ思うようにいきません。

けれども、大変貴重なお衣裳なので、実際に着ての練習は
舞台リハーサルまでできないことがほとんど。

このように臨機応変さが求められるとき、同じ役で出演する先輩や経験者の
アドバイスに、とても助けられます。


そうして受け継がれるテクニックと比例するように様々な失敗談もありますが......
ここでは割愛させていただきます。



アドバイスといえば、貴族役をするたびに、思い出されることがあります。



私がはじめて貴族役をいただいた「ライモンダ」のときのこと。

機会をみつけてはご指導くださったのは、王妃役の第一人者でいらした
故 豊川美惠子先生でした。

先生には、手取り足取り(頭取り、首取り、肩取り、胸取り、腰取り)
貴族の基本の型や身のこなしを教えていただきました。

そして、舞台人としての心構えや立ち居振舞いについて
お話ししてくださったのです。



たとえば、



舞台の背景や額縁になるのではなく、舞台をつくる一員として
役を生きること


常に舞台全体に気を配り、踊っている人たちが映える
画づくりをすること


表情に頼らず、ダンサーとして
身体表現でお芝居すること



などなど。



「白鳥の湖」では、一幕と三幕に貴族が登場します。

両者ともお付きの立場なので、出すぎないように
それでいて、上品な華やかさは失なわないように
メリハリをもって演じたいです。


「一人の立ち役の一瞬の気の緩みが舞台を台無しにする。立ち役が舞台のクオリティーをつくるのよ。」
という先生のお言葉を胆に命じて、舞台に立とうと思います。


どんな役にも言えることですが
貴族役も、経験を積めば積むほど、課題は増えていく一方です。


あと一ヶ月
より質の高い舞台のために、研究と工夫を重ねていきます。


竹石玲奈