魅力がいっぱい。  <青山 季可>

ラ・フィーユ・マル・ガルデ(リーズの結婚)まであと3日。
バレエ団では通し稽古を行う毎日です。

バレエ団に入って、この作品に出会ってから、今までに12ガールズ、8ガールズを経てきて、私にとっては今回が3度目のリーズになります。

その度にこの作品の奥深さ、緻密さを感じ、この作品の虜になっていくのです。

コメディ。ロマンス。そして、人との繋がり。これが全編を通してのテーマになっているのではないかしら。

もちろんバレエですから、言葉はないけれど、いかにもイギリス人の方が作られた作品というか、ジョークの散りばめ方ひとつをとっても、ほとんどお芝居に近いわかりやすい作品です。
フランスの田舎町のお話ではありますが、アシュトンさんが愛した郊外の町ならではの長閑さも全幕を通して伝わってきます。

そして、一番の魅力は登場人物一人一人に魅力的なパーソナリティがしっかりと組み込まれているのです。

例えばリーズは。
明るくていたずらっ子で、ロマンチスト。そして、年頃の女の子らしく、恋に生きる女性!!

明るくていたずらっ子ですから、動きがとても機敏。
ひとつひとつの動きに合わせる音も決まっていますし、何しろ小道具が多い...私自身は器用な方ではないので、毎度パニックに落ち入りそうになりますが、逆を返せば音楽と振り付けが一体になっているのですから、ここは練習を重ねるのみなのです。
そして、サー・フレデリック・アシュトンの振り付けといえばの足さばき。そして、ウエストから大きく使うという独特のボディと手の使い方。

これも非常に難しい...。でも、リーズのパーソナリティを表現した振り付けなのですから、こちらも練習あるのみなのです。

恋人のコーラスとの2人のシーンとお母さんのシモーヌと一緒のシーンでは、リーズの表情も全く違うはず。
そういうコロコロ変わるリーズの表情もうまく表現できたらなと思っています。


今回踊らせていただくにあたって、ロイヤルバレエ団のラフィユのサイトを覗いてみました。
そこに、レスリー・コリアさんがダーシー・バッセルさんからインタビューされている動画があるのですが、言葉や仕草のすべてからラフィユやアシュトンさんに対する想いが溢れ出ていて、胸が熱くならずにはいられませんでした。

 

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私は初演時からミストレスをしてくださっている小倉先生に毎回教えていただいています。日本初演時からリーズを踊り続けていらした大畠律子さんと同じ舞台に立たせていただいたこともあります。皆さんが誇りを持って受け継いできたものを垣間見せていただいたのは、私にとっても財産になっていると思うのです。


日本では牧阿佐美バレヱ団しか持っていないこの素晴らしい作品を。
大切に丁寧に受け継いでいけるように、心を込めて踊ります。
心に染み入るような、あたたかな気持ちになるこのバレエをひとりでも多くのお客さまにご覧になっていただけますように...。

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劇場にてお待ちしております。

青山季可